・恥の感覚が強い人は、バレないように努力しよう
世の中の恥に敏感な人達のなかには、人前で失敗することは嫌がるけれども、こっそり失敗するぶんには割と動揺しないタイプの人が混じっている。自分が努力をして失敗したことが他人にバレない限り、かなり様々な努力やトライアンドエラーができるタイプの人だ。そういう、人目によって恥が規定されるタイプの人は「こっそり努力する」「バレないように努力する」というやりかたが、ある程度まで役に立つ。
尤も、どれほど努力を他人のまなざしから隠蔽しても、あなたの努力をまなざしているたった一人の人物の目からは逃れることができない――つまり、あなた自身のまなざしの自意識は常にあなたを見つめている。だから、自意識が異常なほど過敏・過剰な人の場合は、他人のまなざしから努力を隠しても、自意識からのまなざしが辛すぎて努力ができない、ということがあるかもしれない。
しかし、自意識による検閲がそこまでシビアでない人の場合は、他人のまなざしから努力を隠すこと・コッソリ努力することで、恥の感覚によって努力を邪魔される度合いを緩和できる。または完全に努力を隠さなくても、「見ず知らずの他人の目には触れるけれども知己にはバレないように努力する」「ビギナーのうちだけ人目を避けて努力する」など、機転の利かせかた次第で様々なバリエーションがあり得る。現代人は地域社会に束縛されてはいないので、自分の生活圏外でこっそり努力するのはさほど難しくない。だから、主要な活動領域の外で、こっそり隠れて修行する、というやり方がやりやすくなったと言える。
なお、努力を隠すというという手法は、恥や失敗に敏感な人が、その恥や失敗への敏感さに対する対策を講じながら努力せざるを得ない場合の手法であり、別段、努力効率を上昇させたり、努力の成功確率そのものを上昇させたりするものではない。他人の目線に曝されていても普通に努力に臨める人であれば、わざわざコソコソせず、いつでもどこでも努力ができたほうがいい。