双子自己対象 twinship selfobject

・双子自己対象とは、自分自身の分身のように感じられたり、自分自身にとてもよく似た存在として感じられたりする対象を指す。
 
 なんらかの一体感を介して自己愛を充たしてくれる対象のことを、コフート以後の自己心理学では自己対象と呼んでいるが、そのなかには、自分と共通点の多い人物との一体感を提供してくれる対象も含まれている。

・仲の良い小学生同士が、同じ制服を着て同じグループで行動している時
・似たような才能・趣味・経歴を持つ者同士が、お互いを理解しやすいと感じた時
・遠い海外の街を旅している時に、同じ郷里の日本人と知り合って気安く感じた時
 
 こうした感じの「ああ、この人って私に似てるなぁ」と思えるような、あの独特の感覚をおぼえる際、双子自己対象との一体感を介して自己愛が充たされている、というわけだ。
 
 双子自己対象は、父母と子どもとの関係の跡を色濃く漂わせている鏡映自己対象や理想化自己対象とは異なり、どちらかというと保育園以降の、子ども同士の間での人間関係や、父母以外の人物との一体感として体験されたものが元になっていそうな感じで、その体験様式の原型がつくられる時期も、鏡映自己対象や理想化自己対象よりも少し後と考えられる。とかく両親や年長者との人間関係にばかり意識が遡りやすそうな精神分析の世界にしては珍しく、双子自己対象は、幼児期〜学童期にかけての子ども同士の体験によって、思春期以後に自己愛が充たせるか充たしにくいかがかなり作用されそうな、そういうニュアンスを帯びている。人間の心理や自己愛が社会化していくにあたって、養育者や年長者だけでなく、子ども時代の同世代との関係も、決して無視できないということを双子自己対象という概念は特に強く感じさせてくれる。
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