自己対象体験:selfobject experiences

  自己対象との一体感を介して自己愛が充たされているように感じられている体験のことを、自己対象体験、と呼ぶ。誰かや特定の物品などを自己対象として体験できている(&自己愛を充たせている)んだから、自己対象-体験という語彙は、まさに読んだままである。

例:ライブハウスで観客との一体感を感じて気分が高揚しているバンドメンバーは、自己対象体験(細かく言えば鏡映自己対象体験)の真っ最中だと言える。またバンドメンバーとの一体感を感じて盛り上がっている観客も、自己対象体験(理想化自己対象体験)の真っ最中だと言える。

・自己対象の定義から言っても、自分以外の“誰か”or“何か”との一体感を介して自己愛を充たしている状態は、基本的にはすべて自己対象体験、と言って差し支えない。

・厳密に用語を用いるなら、心理的に充たされるために必要なのは、自己対象ではなく、自己対象体験、ということになる。もちろん自己対象体験を体験するために自己対象が必要なので、結局、自己愛を充たすには自己対象が必要になるんだけれども。

・自己愛が飢えてしまわないようにするには、この自己対象体験が長期間絶えてしまわないようにしなければならない。自己対象体験が長期間絶えてしまうと、どんなに自己愛の成熟度合いが高い人でも、やがてメンタルがしおれてきてしまう。(特に自己心理学の見方からみれば)自己対象体験を介した自己愛充当は、メンタルヘルスの維持に必須のエッセンスとされる。

・自己愛の成熟度合いが低い人は、この自己対象体験(とそのための自己対象)が得られにくいばかりか、得られたとしても絶え間なく自己対象体験を補充できていないと落ち着けないような状態にある。つまり、よりハイレベルな一体感を提供してくれなければ自己対象体験が得られず、しかも、それが間断なく維持されていなければすぐにメンタルがしおれてしまう。自己愛パーソナリティ障害などは、その最たるものということになる。 

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