旅の記録20～23(汎適所属)

　【旅の記録　発心の道場(徳島県)　その４】
　第二十番鶴林寺～第二十三番薬王寺までの、ただの感想＆写真だけです。
　
　→第二十番鶴林寺　　 →第二十一番太龍寺
→第二十二番平等寺　　 →第二十三番薬王寺

第二十番　霊鷲山　宝珠院　　鶴林寺
本尊：地蔵菩薩	御真言：おん　かかかび　さんまえい　そわか
御詠歌：しげりつる　鶴の林の　しるべにて大師ぞいます　地蔵帝釈
古い造りの本堂には、「桓武天皇勅願寺」の看板が。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鋭い目つきで参拝者を値踏み(!?)しているかのような鶴の像。運慶作！　　　　　　　　　　　　　　　　　　森の中に屹立する仁王像。左側の建物には他にも沢山の明王像が安置されている。　立江寺からは平野部を離れ、どんどん山奥に入っていく‥‥約五十分間のドライブの末に、小高い山のてっぺん近くの鶴林寺に到着した。正門には、目つきの悪い二匹の鶴が睨みをきかせていたが、どうやら運慶の作品との事。生き生きしていることはいいことだが、とにかく迫力がありすぎて怖い。金網の向こうにいるその姿は、檻の中の猛獣のようにも見える。　ここの本堂の事はあまり印象に残っていないが、大師堂は、お座敷や家と合体した構造になっていて集会場のようだった。ここで法話が行われているのだろうか？畳のお座敷とくっついているので、説法会とか寄り合いをやっていそうな雰囲気に見える。すぐそばには、古めかしい振り子時計がひとつ柱に掛けられていて、静かに時を刻んでいた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二十一番太龍寺までの道程の途中に見えた吊り橋。四国路に相応しい風景だ。　二十一番太龍寺までの道のりも、細くて長い山道をえんやこらと移動する。所々、落石が落ちている場所もあったが、対向車も少なく川沿いの迷いにくい道を走るだけなので快適。「私は田舎です」と強く主張する橋の景色に出会ったので、写真におさめておきました。

第二十一番　舎心山　常住院　　太龍寺
本尊：虚空蔵菩薩	御真言：のうぼう　あきゃしゃきゃらばや　おん　　　　　ありきゃまり　ぼり　そわか
御詠歌：太龍の　常に住むぞや　げに岩屋　　　　　舎心聞持は　守護のため
太龍寺に昇るロープウェイ。この川沿いに鶴林寺から移動してきました。　　　　　　　　　　　　　　　　巨木に囲まれた山門と階段。山門には、「太龍寺」と書かれた大きな提灯が掲げられている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　本堂の天井に掲げられた般若心経と、様々な絵。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こんな風に、境内のどの建物も緑に覆われている。　川沿いの山道を抜けると、急に谷間が開けてきて道路も綺麗になり、程なく、道の駅と合体した太龍寺ロープウェイに到着した。ロープウェイは行きは貸し切り、帰りは団体のじいちゃんばーちゃんとご一緒に。例によって、「若いのに感心だねぇ」と声をかけられる（これは八十八番まで通して、絶えることなくかけられた言葉だ）。ロープウェイの窓越しに眺める河や集落、農場はなんとも格別。途方もない田舎風景が旅情をそそる。また、遠くのほうの山の中に、第二十番鶴林寺の屋根が小さく見えたのも印象的だった。歩き遍路さんにとっては、鶴林寺から太龍寺までの道のりはアップダウンが激しくて大変そうだ。　ロープウェイに乗車後、約10分で山頂のお寺に到着する。これまで参拝した色々な霊場も随分と山の奥まった所に建っていたが、この太龍寺はその中でも際だっている。樹齢400～600年の杉や檜の大木がこんなにボコボコ生えている所は他にはみられず、ずっと後の六十六番雲辺寺までみられなかった。太くて古い木々のせいか、とりわけ厳粛で静かな森の中に伽藍や石像が並んでいた(こんな時にも、この木は高く売れそうだなぁと思う自分はおそらく低能、もとい、モラルに欠けるのだろう)。　立派なご本尊や大師堂だけではなく、古い緑の森、「南無大師遍照金剛」の赤旗、小さなお地蔵様達、行き交うお遍路さんといった“場全体”が、しっかりと出迎えてくれた。またいつか、機会があるなら訪れてみたいお寺だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　狸なのか地蔵様なのか分からない小さな置物。もちろんお祀りされているし賽銭箱もある。　　　　　　　　　　　　　　　　　　鬱蒼と繁った森の中。お昼が近いため、日差しと日陰と緑の対比が鮮やかだ。　なお、太龍寺のロープウェイは二十分に一本の割合で運行されている。ダイヤの関係で、お寺でまともにお参りしようとすると、一本帰りのロープウェイを待たなければならなくなる。結局、都合約一時間を必要とするので、車遍路の方はそのつもりで旅の計画を立てたほうがいいだろう。また、待合室におみやげを売っているので、時間が余ったら覗いてみるのもいいかもしれない。私もここで、おみやげ用に羽二重餅のすだちバージョンのようなものを買ってしまった。　11:30ごろに道の駅を出発し、平等寺までの約三十分の道のりをゆく。道中、水筒やリュックを持った遠足小学生をたくさん見かけたが、紺と白の体操着、赤白帽という、なんとも言えない素朴な格好に驚いた。都会のお子さまと違って、髪をやたらと染めている子もいない。マジで田舎です。もちろんこれは褒め言葉ということで。

第二十二番　白水山　医王院　　平等寺
本尊：薬師如来	御真言：おん　ころころ　せんだり　まとうぎ　そわか
御詠歌：平等に　へだてのなきと　聞く時　　　　　あら頼もしき　仏とぞみる
本堂付近から、平等寺を囲む集落を見下ろした写真。　　　　　　　　　　　　　　　　　向かって正面の坂が男坂。左側の木立を抜けるように、なだらかで長い女坂が伸びている。　のどかな田園風景の広がる谷間の町に、ポンと建っているのが平等寺だ。このお寺は本堂までの階段が三種類あり、男厄・女厄・子供厄の階段が存在している(次の薬王寺にもあるけど)。男坂は正門から本尊に真っ直ぐ伸びた、ややきつめの四十二段で、女坂は男坂の左側に、なだらかで細い三十三段が伸びる。どちらの坂も、たくさんの一円玉が階段に散らばっていた。妹ゲロ氏いわく、「女坂のほうが男坂より登りやすい」と言っていたのが妙に印象に残った。実際の人生も‥‥やっぱりそうなのだろうか？さて皆さんは、どう考えますか？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　帰り際に仁王門を撮影した。赤く彩色された阿吽像が睨みをきかしている。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　昼食はこの駅（阿波福井駅）のうどんを食べました。めちゃめちゃローカル線です。　二十三番薬王寺までは結構離れているので、途中のローカル線の駅(阿波福井駅)で手打ちざるうどんを食べる。ややぬるいうえにねりわさびのついたうどんだったが、それでもちゃんと旨い。おそらく元国鉄職員とおぼしきマスターのおじさんと喋る。こういうのが多分、味をひきたてる(修飾！？)んだろう。とても気さくな方で、訪問者ノートにはびっしりと感謝のメッセージや喜びの声がかかっていた。食後に、ちょうどJR四国のローカル列車が到着したので写真をとる。一両編成で、車内はお年寄りと坊主頭の男子学生、セーラー服の女子学生‥‥ ここは、本当に平成14年の日本国内なんだろか。たまらんよ、これ。

第二十三番　医王山　無量寿院　薬王寺
本尊：厄除薬師如来	御真言：おん　ころころ　せんだり　まとうぎ　そわか
御詠歌：みな人の　病みぬる年の　薬王寺　　　　　瑠璃の薬を　与えまします
発心の道場・徳島県の最後の霊場に来て、ようやく海にお目にかかる。空の青さと海の青さ。高知県に入ると見慣れる風景だが、このときは思いっきり印象的だった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　写真を拡大すると、ローソクがたくさん灯っているのがわかります。　　　　　　　　　　　　　　　　　　海沿いだからか、今までの針葉樹林に囲まれた霊場とは異なった植物が生えている。　今回の旅行で、初めて登場した海沿いにある霊場、薬王寺。ここまで山ばかりの風景が暫く続いたので、開放感がたまらない。漁港、岩場、そして山沿いの寺という組み合わせは、これから先、菩提の道場（愛媛県）まで延々と続く事になる。そしてこの薬王寺から先の霊場では、暖かくておさかながあるせいか、行く先々でやたらと多く猫を見かけることに。猫ファンの方は、期待して出掛けていいだろう。　ここにも例によって厄よけの坂がある。階段には一円玉がやけに行儀良く整列しており、少々気味が悪い。薬王寺という名前どおり、ここのご本尊は薬師如来である。しかも、後ろ向きの薬師如来像だったらしい。なのに私も妹ゲロ氏も気づかなかった。残念であり。しかも、不徳だ。

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