・靴について

 靴は、ファッションに関心の乏しい人でもチェックしていることの多いアイテムで、特に年配者は靴をよく見ている。初対面の場面・重要な場面では、相手がどういう靴を履いているかをチラ見しあう傾向が強い。まさに“足元をみる”というやつである。
 
 このためファッション上の選択やオシャレ度はさておき、フォーマルな場に即した靴・大事な場面で通用する靴というのは、持っておく価値がある。ネットでは三万円より高い靴が良いというアドバイスを聞くし、減価償却や健康性まで考えると、高い靴を大事に使うことが望ましいとは思うが、見栄を張りすぎると今度はその見栄が浮き彫りになってしまうという問題もある。オタクのハイテクシューズだけが浮き上がってみえる問題のような、「靴だけが目立って歩いているようにみえる」というのも考え物だ。
 
 ・良い靴を買ったら長く使おう。当たり前といえば当たり前のことだが、良い靴はきちんと使えば長く保つ。恐ろしく寿命の長い靴もあるので、そういう靴に出会ったらこそ、大事に長く使いたい。私の手持ちの靴のなかにも、(既にヘビーローテートからは降りたにせよ)8年生き残っている靴もいる。もうしばらく現役だろう。
 
 ・靴のローテーション。一つの靴を一週間履き続けるより、三つの靴を交代に使ったほうが、それぞれの靴が長持ちする。靴のローテーションのうち、一つを高めの靴にする・または革靴にする、という風にして、価格や用途のメリハリをつけたほうが良い。全部良い靴だと、それはそれで疲れるしメンテナンスに気を取られるのでやめたほうがいい。
 
 ・金銭的に余裕の無い人こそ、「普段用の安い靴・ダメになりかけてる靴」「お出掛け用の靴・フォーマルな場の靴」を意識して使い分けると良いような気がする。いわゆる一張羅に相当する靴は大事に使って、そうでない靴はそうでない靴として取り扱う。なにも、四六時中良い見栄えをする必要なんて無い。
 
 ・使う場面がよほど限られている靴でない限り、デザイン性より履き心地やフィット感を優先させるべき。特に、外回りの仕事や立ち仕事の多い人の場合、靴は長い時間付き合うものなので、履いた時の快適性は絶対に疎かにしてはいけない。高い靴は、この快適性と審美性を両立させていることが多く、高くない靴は、どちらかを犠牲にしている場合が多い。このあたり、靴屋さんで熱心に比較検討してみるべき。

 ・面倒くさがりな人は、メンテナンスも視野に入れて靴選びをする必要がある。革靴はそこそこメンテを要するため、全部革靴なんてのは、メイドを雇っている家か、靴磨きが趣味でもない限り推奨できない。本革靴には見栄えの良いものが多いだけに、ついつい革靴を選びたくなるのはわかるが、買いすぎると収拾がつかなくなってしまいがち。
 
 ・二十代後半以降の年齢層になってきてもスニーカーはもちろんokだが、何も考えずにコンバースの黒をデフォルトで選ぶのそろそろまずいかもしれない(広く普及したから、というだけではなく、年齢があがってくると使いづらくなってくる)。スニーカーに限らず、歳をとってくると『脱オタクファッションガイド』や旧来の脱オタファッション系テンプレが通用しない部分が色々出てくる。
 
 この手の書籍/インターネット上のファッションテンプレートは、原則として思春期真っ盛りの人を対象とした書かれ方をしていることが多い。このため、ある時期に『脱オタクファッションガイド』を買ってインストールした後、一切スタイルを変えずにテンプレを遵守し続けるしか能の無い生活をしていると、年齢的にだんだん似合いにくくなってくる可能性がある。
 
 靴に限った話ではないが、ファッションの流行も、自分の年齢も、時とともに移ろいゆくわけで、そこの所を意識しないでマニュアル通りに同じものを選び続ける、というのは効果的なやりかたとは言えない。また、そうした無思慮が服装から透けて見えれば、「この人はそういう機敏を欠いている」という憶測を相手に与えてしまうかもしれない。
 
 とはいえ、靴という分野に限って言えば、無難かつ必要十分なアイテムの多い分野なので、オシャレな靴で差をつけたいなどと欲張るのでない限り、やりやすい分野だと思う。
 
 【参照外部リンク】
 
 →初心者が靴のデザインを選ぶコツを書いたつもりが服装全体の色合わせの話に。(ややオシャレ向きだけど参考になる記事)


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